Zen2 AMD Ryzen 3000シリーズ
AMDからRyzenのZen2世代の発表がされましたね。
主な仕様は以下な感じ
名前 | コア数/スレッド数 | ベースクロック | ブーストクロック | キャッシュ | TDP | 価格(ドル) |
---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 5 3600 | 6/12 | 3.6 GHz | 4.2Ghz | 35 MB | 65W | $199 |
Ryzen 5 3600X | 6/12 | 3.8 GHz | 4.4Ghz | 35 MB | 95W | $249 |
Ryzen 7 3700X | 8/16 | 3.6 GHz | 4.4Ghz | 36 MB | 65W | $329 |
Ryzen 7 3800X | 8/16 | 3.9 GHz | 4.5Ghz | 36 MB | 105W | $399 |
Ryzen 9 3900X | 12/24 | 3.8 GHz | 4.6Ghz | 70 MB | 105W | $499 |
今回はRyzen 5、Ryzen 7そしてなんと12コア24スレッドのRyzen 9がラインナップに来ました。
リーク情報で噂されていましたが、ついに12コアをメインストリームに投入してくるとは・・・。
Zen2アーキテクチャを採用し高クロック化とIPCの改善を実現
デスクトップ向けCPUでは初となる7nmプロセスルールを採用しています。
これは今のiPhoneとかと同じ最先端のプロセスルールですね。
プロセスルールとは回路の細かさの指標で、7nmの太さで回路が描かれています。
回路が細ければ細いほど、小さな面積に沢山の回路(トランジスタ)を描ける=性能が高い傾向にあります。
また細い銅線に大電流を流せば焼き切れるのと同じように、細い回路は少ない電力で動かす必要があるため
必然的に低発熱になり省電力にも貢献します。
(正確にはリーク電流という量子力学的な世界の問題が起こります)
ちなみにインフルエンザウイルスの大きさが100nmぐらいです。とんでもない細さですね。
東京ドームにシャーペンで線を引くような物とも。
Intelは7nm(10nm)の移行に苦戦していて、AMDが一歩先に市場に投入する形です。
従来のRyzenはIntelのCoreシリーズに比べてクロックで劣っていましたが、プロセスルールが一歩進んだことで
消費電力、発熱に余裕が生まれてCoreシリーズにより近い周波数になりました。
Zen2ではIPCの改善もされていて、Ryzen2000シリーズより13%アップしています。
IPCとは「1クロックあたりの性能」の指標で、 これが高いとざっくり1クロックで出来る仕事量が増えます。
Coreシリーズは動作周波数とこのIPCが高いこともあってコア数で劣っていてもRyzenより高い実性能を誇っていましたが
13%というのは近年のCPUでは考えられない驚異的な進歩で、現にCoreシリーズはここ数年殆ど増えていません。
Ryzen 1000シリーズから2000シリーズの時でも3%程度だったのでこれはすごいですね。
Coreシリーズをいよいよ同コア同クロック条件で脅かす存在になってきました。
またキャッシュも16MBから2倍の36MBに増えました。
Ryzen 9は特に70MBという目を疑うレベルのキャッシュが搭載されています。
12コア/24スレッドをメインストリームに投入
これも事前に噂されていた通り、メインストリームに初めて12コア/24スレッドのCPUを投入してきました。
しかも価格は499ドルです。頭がおかしい。
12コア/24スレッドといったらIntelはIntel Core i9 9920Xというエンスージアスト向けCPUが該当しますが、
これは一般用ではなく、価格も15万円ぐらいするCPUです。
それを省エネと性能で上回るCPUが5万5千円程度でぶっこんくるのは完全に価格破壊ですね。
これだけコア数を積んでるとRAW現像やら動画編集もさぞかし快適なので、待望の人も居るのでは無いでしょうか。
ただしRyzen 9 3900Xは6コア×2チップという構成なので、チップ間転送の遅延を考えると
ゲーミング性能は1チップで8コアのRyzen 7 3800Xのほうが高そうです。
しかし、配信する場合はRyzen 9で決まりでしょう。i9 9920Xと同等なら
リアルタイムH.264のソフトウェアエンコードが可能なはずなので
限界フレームレートより、高画質で配信したい場合などはRyzen 9 3900Xは十分選択肢に入ります。
ソケットは従来のAM4を採用、B350~X470も互換性あり
驚きなのがRyzen 9でも現行のAM4マザーボードでの利用可能という所。
(一部BIOSアップデートが必要です)
もちろんPCI Express Gen4やおそらく自動オーバークロックを最大効率で使用することは出来ないのですが
現行のマザーボードで動作するのはとても経済的で良いですね。
ポン乗せでCPUを最新世代に換装出来るのはさすがのAMDですね。
またRyzen 3000シリーズに合わせて、X570チップセットのマザーボードも発売されます。
最大性能を引き出す場合は要チェックですね。